初めてのクリスマス
なんでもいい
あなたは笑ってそう答えるけど
なんでもいいって言われた私は
何をどうしていいのかわからなくて夜も眠れない
「君がくれるものなら 何だって僕は嬉しいよ。」
映画だったかTVドラマの台詞だったか
同じ言葉を聞いた時には、こんな風に私も言われたい・・・なんて思った事もあったけど
なんでもいい
そう言われてしまってから私は寝ても覚めてもその事ばかり
何かとびっきりの、私だけの、
ううん、幸村の彼女として恥ずかしくないような?
彼女じゃなきゃ出来ないようなプレゼントじゃなきゃいけない気がする
なんでもいいで済まされる問題じゃない…
親友に悩みを打ち明けたら
そりゃあ、やっぱり、手作りでしょ!!
彼女からでなきゃ、手作りなんてうざったいものなんだから
彼女の特権で作っちゃえば!? …って、簡単に笑われた
そうだけど
そうなんだけど
私が不器用だって知ってて言うかな?
なんでもよくたって、私が何でもよくない
だって・・・
「僕の彼女は何をそんなに悩んでるのかな?」
眠れなくて、悶々として、口数も少なくなって
そんな私に幸村が困ったように笑顔を向けてきても
私の悩みは全然晴れない
「だって、初めてのクリスマスだよ?」
力を込めてそう言ったら、なんだそんなこと、と幸村は嬉しそうだった
「そうだね、付合いだして初めてのクリスマス・・・だね。」
「だから悩んでるのに・・・。」
「そんなに一生懸命考えてくれる君が好きだけど、
何も初めてだからって、最初からハードル高くしないでよ。」
「ハードルって?」
「もっと僕が大人になったら、最高のクリスマスにしてあげる。
だからそれまでは、ただ一緒に歩くだけのクリスマスだって僕は十分さ。」
ぎゅっと少しだけ力を込めて握り締めてくれる手の暖かさ
幸村はずっと先のクリスマスまでその瞳に私を映してくれてるのかな
そう思うと
なんでもいい
私も同じ言葉を呟ける
「あっ、だけど僕の希望を聞いてもらえるなら・・・」
幸村は私の好きな声で控えめに付け足す
「ツリーの下で君とキスしたいな。」
控えめなんてとんでもない!?
それからクリスマスまで私のドキドキは止まらない
全部、全部、幸村のせいだ!!