バカップル決定?








なあ、なあ、手つないでもええ?

キスしてもええ?

めっちゃ好きやねん

仕方ないやろ?







休み時間中べったりくっついてくるこの男は

どんなに素っ気無い態度をとっても全然へこたれない

…どころか、ますますスキンシップを取ってくる



了解を取るような言葉なんて全然無意味で

それこそ後ろの席の宍戸が

呆れたように丸めた雑誌で侑士の頭をはたいてくれないと

その行為はとどまる事を知らない




 「あのねぇ、ここは教室。
  勉強する所なの!
  少しは周りの迷惑と私の迷惑考えてよ!」

 「考えとるよ?」

 「どこが、どの辺が?」

 「やって、授業中は相手してくれへんやん。
  俺があっつい眼差しでんこと見つめても見つめ返してくれへんし。
  俺、これでも授業中は寂しいの、めっちゃ我慢してんねんで?」


誰がこいつの事をポーカーフェイスだの、心を閉ざす男だの、
そんな作り話を言いふらしたのだろう?

クールで大人でかっこいい…

そんな嘘がまことしやかに他校では信じられていても

今目の前にいる侑士は同じ人だとはとても思えない


愛情の駄々漏れ…

確かそう形容したのは同じダブルスペアの向日だったっけ



 「我慢ついでにちゃんと前を向いてなさいよ!」

 「ええやん。
  黒板見ててもしゃあないし。」

 「じゃあ、目をつぶったまま授業聞いてなさいよ!」

 「あかん、目ぇつぶったらせっかくのが見えへんやん。
  真剣に授業聞いてる見てると、俺も勉強した気になるし。」



勉強した気になるという侑士が羨ましい

ほんとのことを言えば、侑士に見つめられてるこっちは
全然勉強した気になれないんですけど…



授業そっちのけで彼女を見てる侑士は成績がよくて
必死でノートを取る私は彼氏のせいで成績が下がっていく


なんて不条理な…



心を閉じたいのは私の方



 「せやけど、せっかくここでしかと触れ合えんやん。
  学校終わっても一緒にいられるんやったら
  ちょっとは我慢できるかもなぁ。」


嬉しいことを言ってくれてる訳だけど
私だって侑士とはずっとずっと一緒にいたいけど
これでも一応進学目指してる人の将来をめちゃくちゃにしないで欲しい


 「侑士はさ、彼女がバカになってもいい訳?」


皮肉を込めて言ってみたら
侑士は眼鏡をきらりと光らせて大真面目に答える

ねえ、それ、キャラ違うから!?



 「ええんちゃう?
  の頭ん中、俺で一杯や、って証拠やろ?
  どうせ俺んとこに永久就職やし。」

 「何、それ?
  人の人生勝手に決めないで?
  まだバカになった訳じゃないんだから!」

 「ちょ、ちょお待て。
  突っ込みはそこじゃないやろ?」

 「バカはそっちでしょ?
  さらっとこんな所でプロポーズすんな!!!!」


侑士のバカ、バカ、バカ!!!!!!!!!


いきり立った私の顔が真っ赤になってるのを
嬉しそうに見ている侑士が憎らしい…//////







 「おい、そこのバカップル!!
  授業初めていいか?」




担任に言われて気がついた


とっくに始まってる授業時間

クスクス笑われてる私たちに後ろの席で宍戸が呟いたのが聞こえた




 「激ダサだな、お前ら。」