リボンをかけて
「あの、プレゼント用にしてください!」
言えた…
もうどうしようかと思った
紳士服売り場なんて一人で入った事なかったから
なんだか自分が場違いなような気がして
恥ずかしくて恥ずかしくてたまらなかった
初めてのクリスマスプレゼント
何をあげればいいかわからなくて
だけど変なものはあげられなくて
心がこもっていればいい、って雑誌には書いてあるけど
込められる心なんてちっぽけで
どうして私が不二君と付合っているのか未だに不可思議で
いつも優しく笑いかけてくれるのが嬉しいけど
私は彼に何もしてあげられなくて
だからせめてクリスマスくらいは
ちょっと気張って皮の定期入れにした
春になって大学生になったらひと駅向こうのキャンパスに通う事になるから
一緒に歩く距離が少しでも伸びれば
もっと不二君の近い存在になれると思うから
そっと忍ばせたプレゼントはふたつ
お揃いの定期入れがあなたと私を近づけてくれる
それ位しか今の私には自分に自信をもてるものがないの
ねえ、夢なら覚めないで
どうかどうかずっと一緒にいられますように
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目の前の君は僕にプレゼントを渡したくてそわそわしてる
その光景が可愛らしくて思わずニヤついてしまうんだけど
一生懸命選んでくれた小さなプレゼントは
大きさなんか関係なく、とてもとても嬉しいんだ
君はともすれば僕の影に隠れてしまっていつも自信なさ気に俯いてるけど
僕にしてみれば君が本当に僕をずっと好きでいてくれるかとても不安なんだ
強引に手を繋いでも良いのかな
その頬に、唇に、僕のキスを際限なく落としてもいいのかな
僕の胸に閉じ込めて両の腕で痛いくらい抱きしめても良いのかな
声に出せない想いがずっとずっと機会を狙ってるんだけど
君に拒否されたらと思うと戸惑いは隠せないんだ
だから僕は春になったら家を出るつもり
小さくてもいいからアパートを借りて
できれば君と一緒に暮らしたい
登下校の時間が長くなるだけの時間なんて僕にはいらない
さよならをいう毎日が僕の心を締め付けるから
ねえ、二人で暮らそう
そう言ったら君はきっと驚いて固まってしまうかもしれない
でも、君と離れたくない
君を僕だけのものにしたい
どうか、僕の我がままを拒まないで
僕の心にリボンをかけて
君に今すぐあげよう
メリークリスマス
僕の可愛い人へ