って呼んだら
彼女はあり得ない位顔を真っ赤にさせて
僕はもう嬉しくて仕方なかった
4年に一度の特別な日 延長戦
恋人役でならいいという返事に僕は正直がっかりしたんだ。
そんな真似事ではぐらかされて、それもたった一日で終わりなんて、
きっと乾あたりが入れ知恵したんだろうけど
そんな予防線で僕の気持ちを抑えようなんて10年早いと思った。
だけど、予想外の彼女の反応に僕は彼女には悪かったけど
思わず口元が緩みっぱなしだったことは内緒にしておこうと思う。
だって、彼女が照れて赤くなるのを見る事がなかったら
余裕のなかった僕は凹んだままだったかもしれない。
がアカデミー賞ものの女優じゃなくて、本当に良かったよ。
「ね、二人で遅刻したらそれこそ目立っちゃうけど、いい?」
抱きしめていた手を緩めたらは慌てて僕の体から離れた。
ああ、でもその顔は真っ赤なままで、どうしたってみんなの注目の的だけど。
僕はの手をとると半ば強引に昇降口に向かってまっすぐ歩き出した。
「ふ、不二君。」
「何?」
「そ、その、人前では名前で呼ばないで…?」
「それはだめだよ。
恋人役なんだから、恋人らしく振舞わなきゃ。」
俯いたままのが可愛すぎて、この姿を一日中見ていたいと思う。
あんなにマネージャーとして頑張っていたのに、
僕の横にいるは全然普通の女の子だ。
このまま部活でも愛くるしい眼差しのまま
いつもコートの外から僕を見つめてくれていたらどうしよう?
テニスなんてできなくなるかもしれないね。
なんて、不埒なことまで考えて僕は楽しくて仕方ない。
「そうだ、恋人役なのにまだ言ってないことがあったね?」
昇降口まで後もう少し、というところで僕は立ち止まった。
観衆は少しでも多い方がいいからね。
僕は1年から3年の教室の窓という窓に
興味しんしんで覗いてる生徒たちを見計らって
の頬に手を差し伸べた。
窓が開いてないからには聞こえないと思うけど
教室は女の子たちの悲痛な叫びが上がっているに違いない。
「不二君?」
「、僕は君が好きだよ?
誕生日に好きな人が傍にいてくれて僕は凄く嬉しい。」
本当は唇にキスをしたかったけど
この位置だと職員室からも丸見えだから
僕はの左頬にキスをした。
まあ、こんなに無防備なのままなら
いつだって唇にキスできそうだしね…。
特別な僕の誕生日、
2月29日が終わってしまっても
ずっと特別な日が続くって僕は確信してる。
僕を恋人役に選んでしまった時点で
、君はもう僕のものだからね。
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おまけ
「なあ、乾〜。」
「何だ、菊丸。」
「一日だけの恋人役って何のアドバイスにもなってないじゃん!」
「そうだな。」
「大体さ〜、一日だけって言っても朝からあれじゃ、
もうあっというまに不二とは恋人決定だよな?」
「むしろ不二がこのチャンスを自分のものにしない訳がないだろ?」
「が否定しても誰も信じないよなぁ。」
「まあ、俺には関係ないがな。
不二がに入れ込んで次のランキングで負けてくれるといいがな。」
「乾、それ本気で言ってる?」
「100%、無理だな。」
「にゃ、恋は理屈じゃない、だろ?」
The end
Back
☆あとがき☆
不二君、お誕生日おめでとう。
凄い企画をしたかったのに企画倒れになってしまったけど
お祝いしたい気持ちと愛はいまだ胸に一杯詰まってます。
そう、恋は理屈じゃないんだよね!!(笑)
2008.2.29.