極上生徒会 〜立海大編〜 1




立海大の生徒会は絶大なる権力を持っている。

なぜなら、全国有数の部活動を有してる立海大は、
生徒による自主運営によって、各委員会と各部活動をその支配下に治めながらも、
対外的な交渉を生徒会が一手に引き受けていたからだ。

そのために生徒会に入る者たちは、
その煩雑な仕事のためにハードな部活動に入ってない者たちの中から選ばれる事が多かった。

が、今年の生徒会長は前任の生徒会長のたっての推薦で、
立海大最強(最恐?)と言われるテニス部の幸村に決まってしまった。

ただでさえハードな運動部の、その頂点に君臨するテニス部の部長。

中等部の頃からかなりテニス部は怖いというイメージがあったためか、
生徒会の他のメンバーはなかなか決まらなかった。














 「えっ?」

2年のは自分の耳を疑った。

目の前には柳が柔和な微笑をたたえながらの反応を伺っている。

 「君なら適任だ。」

 「私が…?生徒副会長に?」

 「そうだ。」

は柳から視線をはずすと窓の外をぼんやり見つめていた。

柳とは割合仲が良かったので、気さくに話が出来る。

 「柳君の方が適任だと思うけど。」

 「それはどうも。だが、実はもう書記に推されている。
  テニス部からレギュラーが2名も生徒会に入るとなると、
  実質戦力になる人材がどうしても必要だ。
  なら中等部でも生徒会に入っていたし、
  対外的な交渉はそつなくこなせる。」

 「でも。」

 「心配はいらない。
  俺も出来るだけサポートしよう。
  それに前に、言ってたじゃないか?」

 「私?」

 「高等部の生徒会室に一度入ってみたいと。」



はすっかり忘れていた自分の言葉に赤くなった。

そう言えばそんなような事を言った覚えがある。

中等部の生徒会室は会議室をそのままあつらえたような部屋だったが、
噂では高等部の生徒会室はかなり立派らしいのだ。

対外的な交渉を行う生徒会室は、ともすれば職員の応接室より豪華らしい。

そしてその部屋の奥に生徒会長が個人的に使用できる部屋もあるとか…。



 「だけど、こんなこと柳君の一存で決めていいの?」

 「ああ、この俺を誰だと思っている?
  泣く子も黙る立海大テニス部の参謀だぞ。」

柳は楽しそうに笑った。

は柳の顔を見ながら、同じテニス部の仁王が策士とよく言われるけど、
にしてみれば柳の方がよっぽど策士だと思っている。

データの裏づけを基に、その手回しの良さは彼の右に出るものを許さない…。

はため息をついた。

 「柳君の頼みじゃ、断れないんだろうなあ。」

そう呟くに柳はうっすらと瞳を開いた。

 「俺の頼みでなくても、君が引き受ける確率は98%。」

 「そんなことないわよ。」

 「だが、幸村がいる。」

柳の言葉には完全に凍りついた。



  なんで?

  なんで隠してる私の気持ちがばれてる?




は2人の他には誰もいないはずの教室を再確認しながら柳を見つめた。

 「変な事言わないで!!」

 「そうか?今の君の行動で俺の確信は更に固まったが?
  だいぶ動揺してるように見えるのだがな。
  ただし、副会長を引き受けてくれたら俺は何も言わないと約束しよう。」

 「…。」

 「いい話ではないか。
  生徒会室で2人っきりになれるチャンスを、
  いくらでも作ってやると言っているのだぞ?」

 「…で、でも、柳君にメリットあるの?」

 「もちろんだ。」

 「どんな?」

柳はこの上ない微笑を浮かべた。

 「その1、テニス部への予算枠を大幅にUP。
  その2、人の恋路を傍観して楽しむ。
  その3、それに対する幸村のデータを取る。」

 「ああ、もういい、わかったから。
  柳君の変態!」

はこの忌々しい男友達を苦々しく思った。

 「じゃあ、そういうことで、副会長!」

柳の言葉には脱力した。



こうしての極上生徒会の日々はスタートを切るのであった…。







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☆あとがき☆
 某TVアニメの題名「極上生徒会」の響きが気に入って描きました。
でも、あのアニメとは全然関係ありませんけど…。(^^;)
立海大の生徒会はこんなんだったらいいなあ、と。
不定期にぽつぽつ描いていけたらいいなあ。

2005.5.15.
2010.4.30.加筆修正