ドキドキ文化祭








 「で、3−6は喫茶店スタイルにしようと思うけど、
  普通じゃ面白くないから、男子が女装するって言うのはどうかしら?」

6組で絶大なる権力を振るうクラス委員長・が提案した。
とたんに男子からブーイングの嵐が出た。

 「なんで俺たちが女装するんだよぉ。
  俺は絶対やだからな!!」

菊丸がいの一番に反論した。

 「でも、うちのクラスの男子は美形が多いから絶対可愛いと思うんだよね〜。
  そういう菊丸が一番美人になれるよ?」

はあははと笑った。

 「じゃあさ、じゃあさ、女子は全員学ラン着ろよ!
  俺らだけみっともなくするなんて割に合わないもんにゃ。」

 「よし、その話、乗った!
  男子の学生服借りて、女子は全員男装ね。
  もう、文句言いっこなしよ。」

がピシャリと菊丸に言い放つ。

 「あーあ、英二ったらに乗せられちゃって・・・。
  どう見ても男子の方がコケにされてるよ。」

不二はクスクス笑っていた。









 「でさ、なんで私が不二の女装の手伝いしなきゃいけないの?」

は目の前で涼しげに笑ってる不二の顔を見ながらため息をついた。

 「だってペアになったんだから仕方ないんじゃない?」

 「不二なんて化粧しなくても全然オッケーじゃない。」

はため息をついた。
サラサラの薄茶の髪の毛はつややかに光ってるし、
色白の顔にはファンデーションを塗らなくてもきれいだし、
女のでもため息が出るほど顔立ちは整ってる。

演劇部に所属するにとって、人に化粧を施すのは何の抵抗もないはずなのだが、
今日だけは違っていた。
こんなに至近距離で不二と相対する事になるなんて思ってもみなかったのだから・・・。

 「そういうもすごく似合ってるよ。
  僕が女の子だったら、絶対告白しちゃうな。」

 「あのね、不二がその格好で言うと、周りから誤解されそうだからやめてね。」

は苦笑した。
自分で言うのもなんだけど、男役の方が性格的に合うため演劇部の公演でも数回男役をやったが、
男子部員よりもカッコ良く演じる自信があった。。
だから公演が終わると、なぜか女の子たちからのファンレターが多かった。

そして今、は不二に借りた学ランを着込み、第2ボタンまではずしたままラフに着崩していた。

 「それにしても、暑いよね、学ランって。
  上着は着なくてもよかったのにな。」

 「うーん、でも、それ着ないと普通だし。
  その方が絶対もてるよ?」

不二がニッコリ微笑む。
は眩暈がしそうだった。
ただでさえ、不二の香りに包まれてるような感じがして、
そんな事を意識してる自分を不二に悟られまいと必死だったのだ。

 「ああ、もう何にも言わないで。
  グロスだけつけてあげるから。」

はポーチの中からピンクのグロスを出すと、それを不二の唇に押し当てた。
不二のアイスブルーのような深い瞳がを映し出す。
息もできないほどの緊張感にの鼓動は早鐘のようにこだました。

不二の下唇につけたグロスはキラキラと光り、妖艶な輝きを増す。
は息を止めたまま、上唇にもグロスを乗せた。
不二の唇は妖しいまでに色っぽくなった。

 「なんか、つけすぎちゃったかな。」

はドキマギしながらなぜか顔を赤くした。
こんな間近で不二の唇に間接的に触ってる自分が恥ずかしかったのだ。

 「ねえ、そんな顔されたら、僕だって我慢できないよ?」

不二の声がしたかと思うと、はそのまま不二にキスされていた・・・。







どの位の時が経ったのだろう?
それは本当に一瞬の事だったはずなのに、にはすごく長い長いキスのように思えた。
不二がの唇を人差し指でなぞった。

 「続きは文化祭が終わったら、ね?」


 「えっ?」
と、が聞き直す前に不二は教室から出て行ってしまった。

唇に残る柔らかな感触と、不二の学ランの残り香で、は微熱が出そうだった・・・。








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☆あとがき☆
 ちょっと息抜きに遊んでみました。
 ジャージも好きだけど、
 黒の学ランはもっと好きです!!(笑)